五月人形の防虫剤・乾燥剤の入れ方・どこに入れる
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兜の前で笑ったあの日の顔が、
今も心に残っています。
「元気でいてね」
「強く、優しく育ってね」
そう願いながら飾った五月人形は、
わが子の今を祝う、親としての祈りでした。
節句が過ぎたあとも、その笑顔を守るように——
親にできるのは、
来年も変わらぬ美しさでまた迎えてあげること。
防虫剤や乾燥剤、樟脳の選び方と
保管方法を、
わかりやすく丁寧にご紹介します。
五月人形はいつ片付ける?
節句の節目が教えてくれる、
日本の美しい“しまいどき”
五月五日の端午の節句が過ぎると、
「いつ片付ければ良いのだろう?」
と迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが実は、しまう“タイミング”にも、
日本ならではのやさしい意味が込められているのです。
私たちの暮らしには、
春夏秋冬の移ろいを感じ取り、
節目ごとに心を整えるという、美しい文化があります。
節句とは、
その季節の“けじめ”をつける日だと思います。
飾ることで祈り、片付けることで感謝し、
次の季節を迎えるという心の流れが、
そこには息づいています。
片付けの目安としては、
節句のあと1週間から10日以内が理想的です。
晴れた乾燥した日を選び、湿気を避けながら、
そっとやさしく、丁寧にしまってあげてください。
来年もまた、兜の前で笑うお子さまに出会えるように——
片付けるという行為そのものが、
母としての愛情と、
日本の感性を未来へつなげる あたたかな所作となるのです。
なぜ虫がつくの?
兜鎧飾りに潜む虫害の理由と
素材のやさしさ
五月人形をしまうとき、
「虫がついたらどうしよう」と不安に感じたことはありませんか?
実は、兜や鎧飾りに使われている素材は、
とても繊細で、虫が好む条件がそろっているのです。
たとえば、
兜の紐や衣装に使われている絹・綿・麻などの天然繊維は、
衣類の虫にとっては格好の栄養源となります。
また、木工製の台座や飾り台、髪の毛の素材なども、
湿気やカビと相性がよく、
虫を引き寄せてしまいます。
見えない小さな虫が卵を産み、
翌年には布や髪をかじってしまう——
それが、気づかぬうちに
人形を傷めてしまう原因なのです。
大切なお子さまの成長を祝う五月人形だからこそ、
その素材のやさしさを知り、
守る工夫をしてあげることが大切なのです。
防虫剤・乾燥剤・防臭剤の違いとは?
五月人形を守るための、
やさしいケアの基本
五月人形をしまうとき、
よく目にするのが防虫剤・乾燥剤・防臭剤です。
どれも似たように感じますが、
実はそれぞれに“役割の違い”があるのをご存じでしょうか。
まず防虫剤は、
布や木などに発生しやすい衣類の虫を寄せつけないためのものです。
見えない虫の侵入を防ぎ、
人形を清潔な状態で保つ働きをしてくれます。

次に乾燥剤は、湿気を取り除く役割があります。
カビや変色、金属のサビを防ぎ、
五月人形の繊細なパーツを長持ちさせてくれます。
そして防臭剤は、
長期保管中にこもりがちな箱のニオイを軽減し、
開けたときの不快感を防ぐための、
気づかいのアイテムです。
それぞれの役割を知ったうえで組み合わせることで、
お子さまの人形を、
来年もきれいなまま迎えることができます。
防虫剤は無臭タイプと
有臭タイプ、どちらが安心?
成分の違いと選び方のポイント
防虫剤には、
大きく分けて「有臭タイプ」と「無臭タイプ」があります。
どちらを使えばいいのか迷われたことはありませんか?
まず有臭タイプには、
「ナフタリン」「パラジクロロベンゼン」といった成分が
使われています。
防虫効果は非常に高い一方で、
独特のニオイがあり、
密閉空間に長く使うと人形に香りが移る場合もあります。
一方で無臭タイプは、
「ピレスロイド系」の成分が主に使われ、
衣類や人形にニオイが残らず、
赤ちゃんや小さなお子さまがいるご家庭にもおすすめです。
また、無臭タイプは他の防虫剤と併用できるものが多く、
扱いやすさの点でも人気があります。
大切なのは、保管する人形の材質や、ご家庭の環境に合ったものを選ぶこと。
強い効果を求めるなら有臭タイプを、
安心感と優しさを重視するなら無臭タイプを選ばれるとよいでしょう。

どの箱に防虫剤を入れるべき?
本体・屏風・弓太刀それぞれの“守り方”
防虫剤は「とりあえず入れておけば安心」ではありません。
実は、箱の中身に合わせた使い方をすることで、
その効果をしっかり引き出すことができます。
まず、最も大切なのが本体(兜・鎧)の箱です。
布や紐、装飾部分に虫がつきやすいため、
防虫剤は必ず1つ〜2つ入れてあげましょう。

次に屏風の箱
特に刺繍入りの布地や金箔加工のものは虫に弱く、
知らない間に劣化が進んでしまうことがあります。
また、弓や太刀の箱
細かい装飾や木の部分に虫がつくことがあるため、
小さめの防虫剤を1つ添えてあげてください。
箱の大きさや密閉性に応じて量を調整しながら、
お子さまの大切な節句飾りが、
来年も変わらず美しく輝くように守ってあげましょう。
乾燥剤はなぜ必要?
湿気から五月人形を守る、
静かな“もうひとつの盾”
防虫剤と一緒に、
乾燥剤も入れるべきか迷われる方は少なくありません。
ですが実は、湿気もまた、五月人形の大敵なのです。
木製の台座や屏風、金属パーツなどは、
湿気を含むことでカビやサビが発生するリスクがあります。
さらに、布地が湿ると虫も寄りつきやすくなり、
ダブルのダメージにつながってしまうこともあるのです。
乾燥剤は、箱の中の余分な湿気を吸収し、
カビ・変色・劣化を予防する役割を担っています。
防虫剤とは違って香りもなく、
素材にもやさしいのが特長です。
特に、収納場所が
押し入れや床下など通気の悪い場所であれば、
乾燥剤は“静かな盾”として、
確かな力を発揮してくれることでしょう。
目に見えない湿気こそ、
長く飾るための最大の落とし穴です。
防虫と合わせて湿気対策も行うことで、
五月人形はより安心して、末永く守られていきます。

五月人形はどこにしまうべき?
湿気・温度・光から守る
保管場所の選び方
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防虫剤や乾燥剤を使っても、
保管する場所が適切でなければ、
五月人形は傷んでしまうことがあります。
しまう“環境”を整えることも、
母としてのやさしい準備のひとつです。
基本的には、
風通しがよく、湿気の少ない場所がおすすめです。
押し入れの奥や床下収納は便利ですが、
湿度がこもりやすくカビの原因になることもあるため、
注意が必要です。
また、直射日光が当たる場所は、
布や金具の変色につながることがあります。
遮光性があり、安定した気温を保てる場所を選びましょう。
できれば時々開けて風を通したり、
年に一度点検をしたりすると、
保管中の状態も確認できて安心です。
人形は、わが子の節句を見守ってくれる
“家族の一員”のような存在です。
そんな気持ちで、
静かにやさしく眠れる居場所を選んであげてください。
うっかりが悲しみに変わる前に
間違った保管で起こりやすい
トラブルと予防策
「去年ちゃんとしまったつもりだったのに…」
いざ出してみたら、
布が変色していた、
兜の金具にサビが出ていた、
そんな経験がある方も少なくありません。
実はこれ、保管場所の湿気や温度、
そして防虫剤・乾燥剤の入れ忘れが
原因となっていることが多いのです。
また、ビニール袋でぴったり密封してしまい、
中が蒸れてしまったという例も見られます。
特に多いのが、刺繍や布地の虫食いと、
木製台座のカビ・ひび割れです。
大切に飾ってきたからこそ、
気づいたときのショックは計り知れません。
予防のためには、
防虫剤・乾燥剤を適切に使用し、
湿気の少ない環境でやさしく保管することが大切です。
無理なくできる“ちょっとした工夫”が、
来年の笑顔を守ってくれます。
そして何より、「また今年もきれいに飾れたね」と
笑顔で一緒に飾るその瞬間こそが、
母としての願いのかたちなのかもしれません。

しまう前のひと手間が、
未来の笑顔を育てていく
来年も、世界一の笑顔に会うために
一年に一度の、端午の節句。
その日、兜の前で笑ったわが子の顔は、
きっと、どんな宝物よりもまぶしく、
心に焼きついていることでしょう。
「また来年も、この世界一の笑顔に会いたい」
そう願うのは、
ご両親にとってごく自然で、
そしてどこまでも深い、
切なる想いかもしれません。
だからこそ、五月人形をしまうそのときに、
ほんの少しだけ、
丁寧な気持ちを添えてみてください。
防虫剤を一つ、乾燥剤を一つ。
人形の素材にやさしく触れながら、
来年の節句の風景を心に思い描く——
それが、未来への小さな贈り物になります。
どんなに時が流れても、
この子の笑顔を、いつまでも守っていたい。
そんなご両親の愛が、箱の中にそっと宿って、
また一年、静かに見守ってくれるのです。
来年もきっと、世界一の笑顔に会えますように。
その日を信じて、
いま、しまうというやさしい準備をしてあげてください。

節句人形は、ただ飾るだけじゃない
家の空気も、心も整えて、
また新しい季節へ
五月人形をしまうことは、単なる“片付け”ではありません。
それは、
ご家族の空間をもう一度整え、
暮らしにひとつの節目を刻む、
静かな所作なのだと思います。
湿気やホコリを掃うように、
心の中にも風が通っていきます。
その清々しさが、
次の一年を気持ちよく始めるきっかけになります。
最近では、ハウスクリーニングなどのプロの手を借りて、
空気や空間を整えるご家庭も増えています。
忙しい日々の中だからこそ、
節句の前後に“家を整える”という贈り物を、
ご自身や家族にしてあげるのも素敵なことです。
飾る・しまう——
そのどちらにも意味がある端午の節句。
家族の笑顔と季節の空気が、
そっと調和していく瞬間を、今年もまた味わってみてください。
収納する際一緒にお部屋も綺麗に!【おうちにプロ】のご紹介
湿気に弱い五月人形は収納の際も通気性が
よく換気がしやすいスペースでの保管が望ましいです。
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