朝の光が差し込むなか、
ほんのりとした紫の兜が、静かにたたずんでいる。
その姿には、語らなくても伝わってくる
“やさしさ”と“気品”が宿っています。
男の子だからこそ、強さだけでなく、
やわらかく思いやる心を育んでほしい――
そんな想いに寄り添う兜です。
鍬形は、凛と光る銀仕上げ。
前に大きく広がるその姿は、
未来へ羽ばたく鳥のようでもあり、
静かに強く、自分の道を進む子の姿とも重なります。
織物で彩られた吹き返しには、
古の雅さと現代の洗練が溶け合っています。
しころには、白と薄紫の美しいコントラスト。
見る角度や光の具合で表情を変え、
飾る場所の空気までも優しく整えてくれます。
結びの組紐には正絹を使用。
ふわりとした質感と品ある艶は、
“本物を選ぶ”という親のまなざしそのものです。
屏風は淡いベージュと薄若草色の布張り仕立て。
そこに添えられた一輪の緑と、木の雪洞の灯りが、
春の訪れとともに家族の時間を照らしてくれます。
和室はもちろん、ナチュラルな洋室にもなじむ佇まいで、
暮らしの中にそっと“季節の心”を運びます。
小島辰広作のこの兜は、
伝統工芸の確かな手仕事と、
現代の子どもたちに贈る願いが重なった一品。
強さよりも「美しさ」に感動する兜。
節句のたびに親子で語りたくなるような、
家族の記憶に残る“やさしい贈りもの”です。