深みのある黒と、繊細な箔の輝きが交差する兜。
それはまるで、静かに自分の信念を磨き続けてきた人のような佇まいです。
一見控えめでありながら、
そのつくりには細部まで神経が行き届いていて、
子どもに伝えたい「見えない誠実さ」を語りかけてくれるようです。
前立てには、角度によって濃淡が変わる鍬形。
力強く天に伸びながらも、
丸みのあるフォルムが、どこか穏やかな優しさも感じさせます。
このバランス感は、親として我が子に贈りたい
「強く、でもやさしく生きてほしい」という願いそのものです。
兜本体の黒小札には、上品な箔が散らされ、
静かな中に“芯のある華やかさ”を宿しています。
それは日々の中で少しずつ磨かれていく人格や心を象徴しているかのよう。
飾るたびに、家族の間に静かな尊さが生まれていきます。
背景には、藍と生成りの屏風。
自然素材の花器と、そっと添えられた矢飾り。
この一式が生み出す空間は、
ただの行事ではない、“心をととのえる時間”へと導いてくれます。
現代の暮らしに、節句の意味を美しく馴染ませてくれます。
平安武久作のこの兜は、
何世代にもわたり受け継がれてきた甲冑制作の技と、
現代の暮らしに寄り添う美意識が融合された一品です。
一つひとつの工程に一切の妥協がなく、
彫金、箔押し、小札の編み込みに至るまで、
細部に宿る“丁寧さ”が見る人の心を打ちます。
特に鍬形や前立ては、
力強さと気品を併せ持つ絶妙な造形が施され、
光の角度によって濃淡が変わる銀色の表情が、
日々違った印象を与えてくれます。
飾るたびに“新たな感動”を届けてくれるのも、
平安武久ならではの魅力です。
この兜は、職人の技と、親の想いをつなぐ橋渡しのような存在。
我が子の成長と共に、
この兜もまた家族の物語の一部となっていくのです。
やがて大きくなった子に、
「これには、あなたへの願いが込められているんだよ」と語れる日が来るでしょう。