サイズ：間口66cm×奥行46cm×高さ96cm
― 葵の御紋に宿る誇りと、羊歯に託す末永き願い ―
力強くそびえる羊歯の脇立物。
常緑の羊歯には「代々の繁栄」や「変わらぬ想い」が込められ、
この兜はまさに、親から子へ受け継がれる“願い”そのものです。
黄金に輝く堂々たる姿に、見守るようなあたたかさが宿ります。
中央に輝くのは、徳川家の象徴である「葵の御紋」。
大きな時代を動かした家康の誇りと、
静かに道を極めたその芯の強さが、この小さな兜に凝縮されています。
吹返しや目庇にも、職人の繊細な技が光ります。
ただ華やかに見せるのではなく、
見るたびに心を落ち着かせてくれるような、
端正なバランスが心地よく、お子さまの心を育む空間にぴったりです。
背景には、龍虎が描かれた黒い屏風。
「龍」は天を、「虎」は地を司るとされる対の守護が、
お子さまの未来を包み込むように配置されています。
光の角度によって現れるポログラムの輝きも幻想的です。
収納飾り台の中には、本格的な弓太刀が納められており、
鞘の抜き差しもできる本格仕様。
手に取るたびに親子の会話が生まれ、
「なぜ飾るのか」「どんな想いが込められているのか」
そんな大切な“文化の種”を育ててくれる、特別な一品です。
五月人形も時代によって流行りがあるものですが、時代の流行りに関係なく
人気がある五月人形は、徳川家康の兜をかたどったものです。
こちらの兜は、徳川家康が大阪冬の陣のために作らせたといわれる
羊歯を脇立物とした兜をモチーフにしています。
前立てには徳川の象徴である葵の御紋を配し、
羊歯の葉の中央には獅子噛のモチーフを置いた、象徴的な五月人形です。
徳川家康が人気なのは、その人柄と人生に共感するところが大きいからだといわれています。
決して恵まれた少年時代ではなかったようですが、逆境を逆境のままにせず、
人とのつながりを大切にしてチャンスを逃がさず、太く長く生き、
その後200年にわたる江戸幕府の基礎を作り上げました。
徳川家康が天下を取れたのは、もちろん知略や軍略の側面もあったでしょうが、
その人柄を慕って命をかけて家康のために戦った武将がたくさんいたからだとも伝えられます。
家康自らが率いる三河武士は、敵に背中を向けないことで有名な勇猛果敢な武士たちでした。
その武士たちが命を懸ける相手として選んだ徳川家康にあやかってほしいという願いが、
時代の流行りに関係なく常に徳川家康の兜が求められる理由につながるのでしょう。
家康自体が切り開いた窮地は実は少なく、家康に降りかかった窮地を救ったのは常に家来たちでした。
本能寺の変のときに大阪にいた家康の脱出を助けたのは、
堺の商人たちでした（伊賀の忍者であったという説もあります）。
この人を助けたい、この人に尽くしたいという深い思いを
周りの人間に抱かせるような大人物だった証と言えるでしょう。
大成するには、その人自身の器量も大切なことですが、
周りの人から与えられる支持の部分も決して無視できないものです。
群雄が割拠した戦国時代において、太く長く生涯を全うした武将は数えるほど。
その強運と、たくさんの家来たちを従えた温厚な性格にあやかりたい
という思いで求められることの多い五月人形です。
